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No.664 (感想)この世界の片隅で

ども、KOMOです。

のん」こと元・能年玲奈さんの事務所移籍問題絡みで相変わらずこの映画やのんさんについて圧力がかかってるっぽいですね。

こんなに素晴らしい映画であり、上映館が少ないとはいえ今絶賛公開中で、しかも動員数も伸ばしているというのに、テレビで全くと言っていいほど紹介されない現状を踏まえると明らかにおかしいですね。(注1)

圧力がかかっているというのがどこまで真実かは分かりませんが、テレビ局の変な自主規制も影響しているのかもしれません。

さて、なかなか観に行く時間が取れなかったんですが、仕事帰りに映画館に行ってきました(auマンデー万歳)。

私は原作は未読でして、さらに映画を見るまで(あえて)内容は知らず状態でした。

お話が「広島」を舞台にした「戦争下」での主人公の生活を描いたもの、というぐらいしか知りませんでした。

両親が高齢であり戦争下での生活体験があるため、小さい頃はよく戦時中の話を聞かされました。

父は大阪で空襲に怯える毎日で、ヤミ市に行ったり、憲兵から逃げ回ったり、配給が止まったため食い物を求めて農家を巡り一日歩き回ったり、終戦後は梅田駅で靴磨きしたり、U字(馬蹄形)磁石に紐を付けて腰に括り焼け野原を歩いてクズ鉄を集めて日銭を稼いだり、イタチを見つけては石をぶつけて殺して漢方屋に売りに行ったり・・・。

母の方は瀬戸内海の島の生まれで、疎開生活をし、食べることに苦労し、庭に防空壕を作り空襲警報に怯える毎日でした。軍艦や兵隊が当たり前に街の風景に溶け込んだ日常でした。

どちらも親類が兵隊に出て亡くなったり、焼夷弾により近隣の家が燃えたりご近所さんが亡くなったりが日常茶飯事でした。

「はだしのゲン」で描かれていることが本当にあったんです。

ストーリーが進んでいく中で、何気ない日常生活がどんどん戦争色に染まっていく様を見ながら、両親が耐え難きを耐えて生きてきたことが主人公のすずさんの状況にオーバーラップしてしまい、非常に心苦しくなっていきました。

ストーリーはとくに大きな事件が起こるわけでもなく、ただ淡々と戦時中に生まれ育った人たちの描写がすずさんを中心に描かれていきました。

お国の為、天皇の為、とつらい毎日を生きてきたのに、結局2発の原爆が決め手となって敗戦し、終戦を迎えます。

あっけない幕切れに、家族や親戚を犠牲にしてまで今までやってきたことは何だったんだ、という虚脱感・失望感しかなかった、と言っていました。

すずさんが終戦を知って大泣きするシーンがありますが、まさにそうなんですよね。よく描いているなと感じました。

終戦後、進駐軍が街を闊歩する様子がチラっとあり、残飯でつくったごった煮みたいなものが美味しいというシーンがありました。作中ではギャグっぽく描いていましたが、裏を返せば米兵の残飯でさえ日本国民の食事レベルを超えているということです。

進駐軍からガムやチョコなどを貰って初めて食べたとき、「こんなものが食える国なんかと戦争して、勝てるわけなかったんだ」と母は悟ったと言っていました。アメリカではガムやチョコが超珍しいものではなく、一般人でも普通に手に入っていたんですから。

作品全体の感想としては、戦争のつらさを伝えるということよりも、戦時中のラブストーリー的なニュアンスを強く感じ、戦争ものとしては一風違った切り口で非常によくできているなと感心しました。

柔らかい画風のなかで、戦争描写の部分だけやけにしっかり描かれていたり、すずさんが自責の念に捕らわれるシーンではそれまでとは違った描写をしたり(事実から逃げようとする心理描写が心にズキンと来ました)、ストーリー展開が早い映画でしたが、場面場面でメリハリがありどのシーンも印象付くように作られているなと感じました。

淡々とした日常の中での面白さを描くシーン(ご飯を増量する炊き方とか)がちょこちょこありましたが、あれも両親からよく聞かされた内容だったりして、よく作られていると思います。

新婚初夜での「傘をもってきたか?」というシーンは、地方ごとにある習わしというか儀式みたいなもんですが(柿の木問答、というものの一つと思います)、実際に傘をつかって干し柿を食べるというシーンになって、「分かっている」人はここはクスリと笑うところですね。

※なんで「傘」なのか?ですが、「女が開いて」「男が差す」ことの比喩ということで。昔はなんとエロいのやら。

もうちょっと直接的な描写は無しに終わるのかなぁと思っていたら、原爆の描写があり、終戦となり、ラストでこれからの生活の始まりを描く終わりとなっていました。

すずさんは怪我してしまい大好きなお絵かきはこれからどうするのか不安が残りましたが、いちおうはほっこりした終わりになって良かったです。

原爆を描いた映画で最強・最怖・最凶なのは、私としては「TOMORROW 明日」(1988年作品)だと思っていますが、あんなのではなく救いのある終わりで良かったです(注2)。

「この世界の片隅で」というタイトルの意味が最後に分かるようになっているのは、「君の名は。」と同じですが、非常にうまく出来ているなぁと感じました。

そうそうストーリーの途中で、すずさんのご飯の量が~というシーンがありましたが、ちょっと説明不足ですよね。あれ、多分妊娠したのでお腹の子の分と合わせて二人分のご飯を、と思っていたら妊娠していなくて結局ご飯は元の一人分になった、というちょっとギャグ要素のシーンですよね。

リンさんという娼婦が登場しますが、このかたの生死は不明のままで再会せずに終わります。

どうやら原作漫画では再開もするし、リンさんとすずさんの旦那が関係を持っていた(娼婦ですもんね)ということがバレるらしんですが、雑誌インタビューによると監督さんはこの部分をあえてバッサリとカットしたということです。

戦争で苦しい毎日を過ごし、怪我までしたすずさんに、旦那と娼婦の関係までという暗い一面を与えてしまうのは忍びない、終戦後に元気に立ち直ってもらいたい、という心意気らしいです。

公開された直後は原作ファンから、この重要なファクターがまるまるカットされていることについて監督批判があったようですが、そういうのをすべて覚悟の上で、すずさんに明るくなって欲しいという願いからまるまるカットしたようです。

非常に内容が濃くて話の展開が早く、広島弁でのセリフ、それに当時の用語が飛び交うので、ちょっと言葉を追いかけるだけでも忙しいかもしれません。私は聞きなれた広島弁でしたし、当時のことは両親からいろいろ聞かされてきたし、はだしのゲンでも描かれている時代ですので、??な部分はありませんでしたが、最低限時代背景の知識は必要でしょう(まぁ大人なら大丈夫と思いますが)。

まぁなんにせよ、とてもいい映画でした。是非とも広く観てほしい作品ですね。

冒頭でも書きましたが、ほんとテレビではほとんど紹介されてないのが腹立たしい(注1)。

で、能年玲奈から改名した「のん」さんが初声優として主人公すずの声を当てていますが、非常にマッチしていて上手でした。ただ、すずの幼少期のときはちょっと声質と年齢があってないかなぁと思いましたが、どんどん話が進んで歳を取っていきましたので、違和感はすぐになくなりました(^_^;)。

あと、登場人物の名前が特殊だなぁと感じていたら、やっぱり元素記号の暗喩のようですね。登場人物名と元素記号を絡めて説明してくれているブログがありましたので、リンクを張っておきます。

「この世界の片隅に」の化学 - ZoaZoa日記 :
http://holozoa.hatenablog.com/entry/2016/11/17/232705

(注1)12月に入ってようやくTVで紹介され出したっぽいですね。フジテレビ「ユアタイム」、NHK「あさイチ」で紹介があったみたいです(フジは視聴エリアじゃないのと、NHKのは出勤時間でしたので未視聴です)。しかしまだまだ民放での全国規模での紹介はありませんね。本来ならばのんさんへのインタビューとかもあってもいいはずなのに。

(注2)「TOMORROW 明日」は105分の映画ですが、長崎を舞台に戦時中の生活ながら幸せを感じる毎日を淡々とそれはもう淡々と104分描き、ラスト1分でどん底に突き落とすという映画。しかも直接的な恐怖描写(グロいシーン)は一切ないという演出。怖くないのに超怖いという、当時中学生だった私は頭を殴られたような衝撃を受けた戦争映画。戦争を描いていないのに怖い戦争映画。見たことなければ見るべし。

※次点としてあげたいのが「この子を残して」。こちらも長崎が舞台ですが、「あの後」の描写が非常にエグい。ただそのエグさだけが強調(記憶)されて、作品全体としてあまり評価されていない感じ。

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